はじめに
少年野球指導者には、子どもたちの健全な育成と正しい野球スキルの指導が求められています。近年では、指導者の資質向上と適切な指導法の普及を目的として、さまざまな指導者資格制度が設けられています。本記事では、少年野球指導者に必要とされる代表的な資格について、詳しく解説していきます。
全日本軟式野球連盟の資格制度
全日本軟式野球連盟(JSBB)は、2024年シーズンから、公認学童コーチ資格の保有を監督、代表者、コーチに義務付けています。この資格は、PlayBB-membersへの会員登録後、eラーニング講習の受講と合格により取得できます。
公認学童コーチ資格の特徴
公認学童コーチ資格は、学童野球の指導者を対象とした資格です。軟式野球ルールと指導法、選手の心理や健康管理などについて学ぶことができます。eラーニング形式で受講できるため、時間と場所を選ばず資格取得が可能です。
また、この資格を持つことで、JSBB主催の公式戦に出場できるようになります。2024年シーズンからは、ベンチ入りする監督・コーチ全員がこの資格を保有していることが義務付けられています。
公認学童コーチ資格の取得方法
公認学童コーチ資格を取得するには、以下の手順が必要です。
- PlayBB-membersへの無料会員登録
- 公認学童コーチ資格のeラーニング講習受講(6,000円程度)
- 講習修了試験に合格
なお、すでにJSPO公認コーチ1や3、JSPO公認スタートコーチ、JSPOスポーツコーチングリーダー、BFJ公認野球指導者基礎ⅠU12の資格を保有している場合は、公認学童コーチと同等と見なされます。
日本スポーツ協会の資格制度
日本スポーツ協会(JSPO)は、全日本軟式野球連盟と共同で、公認軟式野球コーチの資格を発行しています。公認コーチ1と公認コーチ3の2つのレベルがあり、指導対象者や指導範囲が異なります。
公認コーチ1(軟式野球)
公認コーチ1は、地域のスポーツクラブやサークル、初心者、子どもたちに対して軟式野球の基礎指導を行うことができる資格です。共通科目と専門科目(軟式野球)から構成され、講習会の受講と試験に合格する必要があります。
受講料は33,440円(税込)となっています。この資格を取得することで、2024年度以降のJSBB主催大会に指導者として参加できるようになります。
公認コーチ3(軟式野球)
公認コーチ3は、全国レベルの競技者を対象に指導するとともに、ジュニア層の競技者の発掘や育成、シニア層の競技力向上に貢献することが役割とされています。共通科目と専門科目(軟式野球)から構成され、事前課題、講習会、事後課題などを経て取得できます。
この資格を取得すれば、2024年度以降のJSBB主催大会に上級指導者として参加できます。また、選手の科学的な育成が可能となり、高い指導力が発揮できるようになります。
全日本野球協会の資格制度
2019年に全日本野球協会(BFJ)が導入した「公認野球指導者」資格は、アマチュア野球界共通の指導者資格です。硬式/軟式の区別や特定の団体への所属を条件としていません。
公認野球指導者 基礎I U-12
公認野球指導者 基礎I U-12は、9~12歳頃の選手の指導者を対象とした資格です。BFJが開催する「公認野球指導者 基礎I U-12認定講習会」を受講し、修了することで取得できます。
この資格を取得すれば、JSBBの公認学童コーチ資格と同等と見なされます。少年野球チームの指導者として活躍することができるでしょう。
公認野球指導者 基礎I U-15
公認野球指導者 基礎I U-15は、13~15歳頃の選手の指導者を対象とした資格です。BFJが開催する「公認野球指導者 基礎I U-15認定講習会」を受講し、修了することで取得できます。
この資格を持つ指導者は、中学生やクラブチームの指導に適しています。幅広い年代の選手の育成に携わることができます。
スポーツ少年団の指導者資格
スポーツ少年団の指導者には、日本スポーツ協会公認資格の保有が義務付けられています。理念に沿った活動を推進するため、「スポーツ少年団の理念」を学んだ指導者を複数名配置することが求められています。
JSPO公認スタートコーチ(スポーツ少年団)
JSPO公認スタートコーチ(スポーツ少年団)は、スポーツ少年団での指導者に適した資格です。スポーツ少年団の理念を学び、子どもたちに適切な指導ができるようになります。
受講には一定の条件がありますが、オンラインでの学習と試験、レポート提出で取得できます。この資格を取得すれば、スポーツ少年団における指導者として登録が可能となります。
JSPO公認コーチングアシスタント
JSPO公認コーチングアシスタントは、コーチのサポート役として活躍できる資格です。スポーツ少年団のコーチをサポートし、安全で適切な練習運営を行うことができます。
2024年1月からは、PlayBB-membersでの登録が可能になりました。指導者は無料会員登録後、資格登録申請を行うことで、本連盟で承認されて登録が完了します。
まとめ
少年野球の指導者には、さまざまな資格制度があり、各団体からさまざまな受講形態で提供されています。2024年度からは、JSBB主催の公式戦に出場する際に、監督・コーチに一定の資格保有が義務付けられます。子どもたちに適切な指導を行うためにも、関係者は早めに資格取得を検討する必要があるでしょう。
指導者資格の取得は、正しい知識を身につけるだけでなく、指導者としての自覚を促す効果もあります。選手の育成に携わる責任者として、さらなる資質向上に努めていくことが重要です。
よくある質問
公認学童コーチ資格とは?
公認学童コーチ資格は、学童野球の指導者を対象とした資格で、軟式野球ルールや指導法、選手の心理や健康管理などについて学ぶことができます。eラーニング形式で取得でき、2024年シーズンからはJSBB主催の公式戦に出場する際の必須資格となっています。
JSPO公認コーチ資格にはどのような種類があるか?
JSPO公認コーチ資格には、地域のスポーツクラブやサークル、初心者、子どもたちに対して軟式野球の基礎指導を行う「公認コーチ1」と、全国レベルの競技者を対象に指導するとともに、ジュニア層の育成や高齢者の競技力向上に貢献する「公認コーチ3」の2つのレベルがあります。
公認野球指導者 基礎I U-12とは何か?
公認野球指導者 基礎I U-12は、9~12歳頃の選手の指導者を対象とした資格で、BFJが開催する認定講習会を受講し修了することで取得できます。この資格を取得すれば、JSBBの公認学童コーチ資格と同等と見なされ、少年野球チームの指導者として活躍できます。
スポーツ少年団の指導者にはどのような資格が必要か?
スポーツ少年団の指導者には、日本スポーツ協会公認資格の保有が義務付けられています。具体的には、「JSPO公認スタートコーチ(スポーツ少年団)」や「JSPO公認コーチングアシスタント」などの資格を取得し、スポーツ少年団の理念に沿った適切な指導ができることが求められます。