少年野球コラム|吉田輝星による「球数制限」

球数問題は高校どころか少年野球も。投げすぎは「将来性の先食い」に。

今夏の甲子園ほど、選手の健康面への懸念が取りざたされた大会はなかっただろう。気象庁が「災害級」と表現した酷暑の中、金足農・吉田輝星が1回戦から決勝まで投げぬき、882球という投球数を記録した。

第100回を迎えた夏の甲子園で、一躍、時の人となった金足農 吉田輝星投手。
1回戦から決勝までの投球数は881球となり、決勝戦については、優勝候補の大阪桐蔭に打ち込まれてしまいました。
この状況で、「881球」と「連投」という、野球における”ブラックボックス”が話題となっています。
私は、個人的には、夏の甲子園決勝前に、「吉田輝星くんには、ベストな状況で決勝戦を投げてほしい」と思いました。この連投と球数をみれば、いくら高校生でも疲れは出るはずで、決勝戦前に1日でも休息日があれば、決勝戦の結果も違ったものになったと思います。
この記事にもあるように、「トーナメント方式による弊害」と「勝利至上主義」が問題であるといわれています。

確かに、トーナメントによる過密スケジュールは、連投を余儀なくされ、勝つためには、やはり自チームのエースを当番させたいという気持ちは、監督をやっていればそうならざるを得ない状況になるのも気持ちはものすごくわかります。

これは、少年野球にとっても同じです。
少年野球もトーナメントとともに、上部大会にいってしまうと、本当に連戦連戦の日々になってしまいます。仮に、数人のピッチャーで勝ち上がったとしても、準決勝や決勝となると、やはりエースとともに、チームとしてベストメンバーで戦いたい。仮に負けたとしても・・・。と思ってしまいます。

高校野球で球数制限をするかしないかについては、今後の議論によって決まっていくことになるので、ここで、私が意見することはないと思いますが、少年野球については、個人的には、「球数制限をすべきである」と思っています。
まだ、小学生である以上、確かに将来があるので、球数制限はせめて1試合100球をめどに交代するのが、子供のためだと思っています。
これは、ほんとうに思っているのですが、いざ試合となるとどうしても100球を超えて投げさせてしまうことがあります。これは、反省すべきことなのですが、「試合に勝つ」ということが、今後のチーム全体の子供の野球に対する成長が全然違うからです。実際に投げているピッチャーの子も同じです。「勝利至上主義」というのではないですが、子供たちにもっと野球を好きになってもらうために勝つことも、大事なことだと思っています。

「球数制限」の問題は、今後の野球について本当に難しい課題です。

ただ、少年野球の場合、「球数制限」だけでなく、「きちんとした投げ方」を指導することが大事です。
仮に、100球をめどにしていたとしても、投げ方が独特の投げ方であれば、すぐに肩やひじが痛くなります。多くの試合をみていて、「おっ。この子はいい球なげるな」と思っても、小学生では肩やひじに負担がかかる投げ方をしている子がいます。そうすると、「あと1年もすると、肩やひじにふたんがくるな」と思っている、案の定、最終学年の6年生では、肩やひじをけがして投げられない状況になります。
指導者として、勝つためにスピードボールを投げられる子を使いたい気持ちはわかります。でも、指導者としては、まずは「きちんとした投げ方」で、スピードボールを投げられるようにしてあげることが大切です。
小学生のときに「きちんとした投げ方」ができれば、中学生や高校生になって身体ができてきたときに、独特の投げ方になってもいいのですから。
特に、最近の小学生は体が大きいです。大人のような体格をもつ子供もいます。でも、身体の中身は小学生なので、大人と同じように投げられても、身体には大きな負担がかかります。
小学生で、120キロを投げる子もたくさん見てきましたが、やはり小学生のときに力まかせに投げていたことから、中学生、高校生でケガをしてしまう子が多いのも事実です。これは、本当に哀しい。
少年野球は、「きちんとした投げ方」を指導者が教えること。そして、指導者も「きちんとして投げ方」を勉強して、その子供にあった「投げ方」を一緒に考え、指導することが重要です。

そして、もうひとつの問題は、「少年野球人口の減少」です。

多くの少年野球の指導者は、球数制限をするべきと考えるでしょう。それは、指導者の中で野球経験者であれば、一度は肩やひじの痛みを経験し、そして、そのケガで野球をあきらめないといけないチームメイトを見た人がいるはずです。だから、絶対に教え子には、絶対そんな思いはさせたくないと思っていると信じています。
でも、少年野球人口の減少により、やっと1チームできる人数しかいないチームとかだと、ピッチャーができる子が2人も3人もいないのも事実です。要は、「チーム内にピッチャーができる子供がいない」から、1人のピッチャーに投げてもらわないといけないというジレンマです。
昔のように、1チーム30人も40人もいるのも、試合にでれないという問題がありますが、せめて20人くらいは、1チームにいてチーム内で競争し、いいピッチャーを2人から3人育てられるような環境にしたいものです。
これは、チームの指導者としての言い訳かもしれませんが、野球が好きな子供に、勝つことでもっと野球を好きになってほしいと思うと、1人しかいないピッチャーでなんとか勝たせてあげたいと思ってしまいます。

長くなりましたが、少年野球では「球数制限はするべき」。
球数制限をするために、もっと野球をやる子供を増やす環境を整えていくことも大事だと、現場からみると本当に思います。

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